四股名に鳥の字が入った幕内力士で多いのは鶴で、13種類あった。明治以降が5種類で、江戸時代の並びは8種類になる。現代なら鶴竜が真っ先に浮かぶが、江戸には看板大関の鶴渡や、関脇まで出世した真鶴がいる。
鷹(鷹ノ海)と鵆(ちどり・友鵆)は1種類ずつ。対象は番付が現存する宝暦7年10月以降の江戸・東京の幕内(上段)力士(田口 通廣の2020年10月の記事)。動物編は全4回で、この回は鶴・鷹・鵆。
この連載の数え方(田口 通廣が決めた条件)
- 動物といっても、竜(龍)・麒麟・鳳・鵬などの伝説や空想上の動物は含めなかった
- 鯱は「しゃち」と読む四股名は入れ、「しゃちほこ」と読む四股名は入れなかった
- 獅子はライオンの別称ということで含めた。唐獅子(そういう四股名はなかったが)は別物とした
- 四股名は最終の名を原則採用したが、もっとも通っている名にしたものもあった
- 対象は、番付が現存する宝暦7年10月以降の江戸・東京の幕内(上段)力士とした
江戸の力士は元号で出てくるので、田口は宝暦以降の江戸の元号を並べている。
| 元号 | 西暦 |
|---|---|
| 宝暦 | 1751年~1764年 |
| 明和 | 1764年~1772年 |
| 安永 | 1772年~1781年 |
| 天明 | 1781年~1789年 |
| 寛政 | 1789年~1801年 |
| 享和 | 1801年~1804年 |
| 文化 | 1804年~1818年 |
| 文政 | 1818年~1830年 |
| 天保 | 1830年~1844年 |
| 弘化 | 1844年~1848年 |
| 嘉永 | 1848年~1854年 |
| 安政 | 1854年~1860年 |
| 万延 | 1860年~1861年 |
| 文久 | 1861年~1864年 |
| 元治 | 1864年~1865年 |
| 慶応 | 1865年~1868年 |

鶴がつく四股名(江戸時代)|鶴渡・真鶴・舞鶴など8種類
鶴は多く、13種類あった。江戸時代は次の8種類である(田口の並びを当サイトが数えた)。
| 四股名 | 田口の注 |
|---|---|
| 鶴ヶ滝 | 天明と慶応に見られる。天明の鶴ヶ滝は上段2場所で終わった力士。もう一人は入幕したときは大勇だったが、のちに以前の四股名の鶴ヶ滝に戻している |
| 鶴渡 | 看板大関として付け出されたが、実力もそこそこあった。1度改名して再び鶴渡を名のった。この四股名は時を経て、明治末から大正にかけて活躍した鶴渡がいる。大関西ノ海、大関大錦に勝ったことがある |
| 輸鶴羽(ゆづるは) | 寛政と文化入幕の2人がいる。後者は大阪相撲から来たため、幕内前頭5枚目付け出し。寛政入幕の輸鶴羽の師匠名を名のった |
| 鶴翼 | 寛政入幕と天保入幕の2人。後者は幕尻に付け出されるも出場記録なし。看板力士だった |
| 友鶴 | 文化の力士 |
| 真鶴 | 4人いる。文化に入幕した真鶴は関脇まで出世した。安政に入幕した真鶴、明治の真鶴、昭和戦前の真鶴がいる。小結までいった(原文のまま) |
| 舞鶴 | 3人いる。文化の舞鶴は出場記録があるものの、安政3年と安政6年に名前が見える舞鶴は出場することがなかった看板力士であった |
| 鶴ヶ峰 | 嘉永・安政にかけての力士 |


鶴がつく四股名(明治以降)|鶴ヶ嶺・鶴竜・隆の鶴など5種類
| 四股名 | 田口の注 |
|---|---|
| 鶴ヶ濱 | 3人いた。そのうち2人は明治で、最初の鶴ヶ濱は玉鶴を、2人目の鶴ヶ濱は鶴の子を改名している。3人目は大正の力士で、最高位は小結 |
| 鶴ヶ嶺 | 2人いる。井筒部屋を再興した鶴ヶ嶺道芳と、その弟子の鶴ヶ嶺昭男。鶴ヶ嶺昭男は技能賞10回、逆鉾・寺尾の父で知られている |
| 大真鶴 | 平成の力士。幕内1場所で終わっているだけに、印象は薄いかもしれない |
| 鶴竜 | 説明無用 |
| 隆の鶴 | 横綱隆の里の弟子で、田子ノ浦部屋の師匠である(2020年10月の記事の時点) |

鷹・鵆(ちどり)がつく四股名|1種類ずつ
鳥類の文字で1種類だけだったのが、鷹と鵆(ちどり)である。
| 四股名 | 田口の注 |
|---|---|
| 鷹ノ海 | 天明の力士で、看板大関だった |
| 友鵆 | 安永に1場所だけ上段だった力士。友千鳥と表記した時期があった |
鳥の字そのものが入った大鳥居・鳥井崎・鳥羽の山は前の回(四股名あれこれ 動物編2)に、最後の鷲は次の回(四股名あれこれ 動物編4)にある。
鶴・鷹・鵆の四股名についてよくある質問
Q. 鶴がつく四股名の力士は何種類いましたか?
A. 13種類です。江戸時代は鶴ヶ滝・鶴渡・輸鶴羽・鶴翼・友鶴・真鶴・舞鶴・鶴ヶ峰の8種類、明治以降は鶴ヶ濱・鶴ヶ嶺・大真鶴・鶴竜・隆の鶴の5種類でした。
Q. 輸鶴羽の読み方は?
A. 「ゆづるは」と読みます。寛政と文化に入幕した2人がいます。
Q. 鶴ヶ嶺は何人いましたか?
A. 2人です。井筒部屋を再興した鶴ヶ嶺道芳と、その弟子の鶴ヶ嶺昭男で、鶴ヶ嶺昭男は技能賞10回、逆鉾・寺尾の父で知られています。
Q. 鷹や千鳥がつく四股名は?
A. 天明の看板大関の鷹ノ海と、安永に1場所だけ上段だった友鵆(友千鳥と表記した時期がある)です。
▶ 連載「四股名あれこれ 動物編」全4回
動物編1 虎・馬・鹿(哺乳類) | 動物編2 熊・獅子・狼・猪・象・牛・猿と鳥 | 動物編3 鶴・鷹・鵆(鳥類)(本稿) | 動物編4 鷲・蛇・鯱・鯉・蜂
田口 通廣の四股名の記事 一覧(連載「四股名の大元」「四股名のルーツ」「四股名あれこれ」ほか)
〔四股名の大元〕玉(片男波部屋)|栃(春日野部屋)|琴(佐渡ヶ嶽部屋)
〔四股名のルーツ〕○○富士|○鵬&○海(かい)|○風|○○里|寺尾という四股名にこめられた思い
〔四股名あれこれ〕1文字の四股名|頭に若がつく四股名|本名の四股名|四股名のパターン|丸と城と王|~の山|東西南北|動物編(全4回)|~花(上・中・下)|ひらがな変換編|~の・ノ・乃海(全5回)|本名をもじったもの(上・下)|春日野部屋編
〔一覧とクイズ〕力士の改名・旧四股名 一覧|伝統の四股名|四股名クイズ