■若ノ鵬
入門したら、土俵入りから始まると思って
いたロシア連邦出身の力士。露鵬の口利きで
元2代目若乃花の間垣部屋に入門。序ノ口
から2年半で入幕した。2007年十一月場所、
19歳のときであった。しかし、力士生命は
短かった。2008年8月、大麻所持で解雇され
た。「この世界に慣れた。ほかの世界は難し
い」と言っていたが、ことの重大さから、
そうはいかなかった。最高位は前頭筆頭。
20歳で土俵を去った。
■栃ノ心
2008年五月場所、20歳で新入幕を果した。
入幕30場所で敢闘賞3回受賞、小結在位2回
と普通の幕内人生だった。ところが2013年
七月場所で右ひざ前十字靭帯断裂、右ひざ
内側内副靭帯断裂という大ケガを負った。
この場所は途中休場となった。翌場所から
十両で2場所連続全休。さらに幕下に落ちて
全休。番付は幕下55枚目まで下がった。ここ
からの栃ノ心の快進撃がすごかった。連続
幕下優勝、十両に戻って、さらに連続優勝で
幕内に復帰した。2014年十一月場所、27歳の
ときであった。
復帰した場所で敢闘賞を受賞した。小結の座
にもついた。さらに初の技能賞を受賞する
機会がめぐってきた。それよりも驚いたのは
2018年一月場所、快進撃で堂々の初優勝を
成し遂げたときであった。30歳のときであっ
た。このチャンスを生かし、大関に昇進した。
同じく30歳であった。このあたりが栃ノ心に
とって最良の日であった。大関は2度落ち、
現在は平幕である。もう1度見せ場はくるの
だろうか。
■舛ノ山(のち舛乃山に改名)
フィリピン生まれの千葉県出身。2010年10月、
人より肺が小さいと忠告を受け、心房中隔
欠損の疑いありと診断された。スタミナが
一般人の半分以下しかなく、稽古に支障が
あった時期があった。のちに原因は心臓病
ではなく、呼吸法にあったことが判明した。
2011年九月場所、20歳で入幕した。1度十両
に落ちたが、2012年七月場所再入幕し、その
場所で敢闘賞を受賞した。しかし、再入幕は
2年しか続かなかった。最高位は前頭4枚目。
2度目の十両落ちとなった以降は、ケガで
序ノ口まで番付を下げた。幕下以下の相撲
人生が5年続いている。現在の番付は三段目
である。年齢は29歳になった。
■千代鳳
兄千代丸とともに九重(元千代の富士)部屋
に入門。2013年五月場所、20歳で入幕した。
幕内は19場所務め、小結を1場所在位した。
この間2016年7月、師匠の九重が61歳という
若さで亡くなるという悲運にでくわしている。
跡を継いだのは元大関千代大海であった。
千代鳳は肩や膝のケガで次第に番付を下げて
いった。2018年、2019年は幕下生活であった。
長い無給生活を脱したのは2020年一月場所
からであった。番付は現在十両8枚目まで
戻してきた。年齢はまだ27歳である。幕内
復帰を目指しての奮闘が見られるか、注視
している。
■貴景勝
現大関である。相撲版巨人の星の如く、少年
期は父に鍛えられ、高校時代は相撲の名門
埼玉栄高校相撲部で活躍した。そんな下地が
あるだけに序ノ口から9場所で十両入りした。
十両は4場所かかり、2017年一月場所、20歳
で入幕した。貴景勝の大相撲人生のショッ
キングなできごとは、入門した貴乃花部屋の
師匠貴乃花が、2018年10月唐突に協会を離職
してしまったことである。突然師匠と部屋を
失い、残された弟子は元隆三杉の千賀ノ浦
部屋へ移籍した。
その直後に貴景勝が初優勝した。22歳のとき
である。そのチャンスを生かし、大関に昇進
したときも22歳であった。ただ、大関の成績
は、2020年三月場所まで30勝22敗23休とふる
わない。2場所で大関から落ちた大関は、
古くは五ッ嶋、近年では武双山以来であった。
きたる七月場所はカド番で迎える。見たい
のは優勝争いをする貴景勝である。
■阿武咲
2017年五月場所、20歳で入幕した。その場所
10勝5敗で敢闘賞を受賞した。そのあとも
2場所10勝5敗を続け、明日のホープとして
期待と注目を集めた。入幕3場所目の10勝
5敗は上位であり、金星(日馬富士)と2回
目の敢闘賞を受賞している。入幕4場所目で
小結にあがり、勝ち越している。
だが、勢いはここまでだった。2018年一月
場所、ケガで途中休場。翌場所は全休した。
1度十両に落ちたが、1場所で幕内に復帰
したが、そこから10場所横綱・大関戦が
なかった。つまり、上位に上がることがなか
ったのである。2020年の三月場所、横綱白鵬
を倒して殊勲賞を受賞した。だが、三月場所
は部分対戦だった。上位と総あたりする、
きたる七月場所こそ真価を問われる。
七月場所20歳で入幕を果した琴勝峰はどんな
履歴書、エピソードを残すのか。注目して
いきたい。
(この項目終わり)
無観客プロ野球も音を強調しているが、
生の熱気と声援に勝るものはない。
興味深いテーマをこれからもお届けします。
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