羽黒山は双葉山の弟弟子で、双葉山が現役の
ときは、かげに隠れたところがあった。だが、
戦後4連覇するなど強豪力士であった。筋肉
が、たくましく、仁王のような体形であった。
昭和23年の巡業中にアキレス腱を2度切って
夏場所から3場所全休。このときを含め、
11場所連続優勝なしがある。その後15戦全勝
優勝したが、それが最後の優勝(7回目)と
なった。
安芸ノ海は双葉山の連勝記録を69でストップ
した力士である。双葉山を倒したほどの力士
だからということで奮起して横綱にまでなっ
た。だが、横綱は8場所在位でついに1度も
優勝できなかった。
桜色の音楽といわれ、リズミカルな相撲を
取った照國は、大関2場所で横綱に昇進した。
だが、優勝があまりに遠かった。東富士、
増位山、千代ノ山と後から入幕した力士に
先に優勝されていくありさまだった。新横綱
の場所から17場所連続優勝がなかった。これ
はワースト3位タイの記録である。
前田山は横綱が務まらなかった力士である。
在位は8場所だが、優勝はおろか次点もなか
った。怒涛の寄り身東富士は、連続優勝と、
全勝優勝こそなかったが、まんべんなく優勝
したともいえる。引退場所を含めた4場所
連続優勝なしであった。なお、東富士の横綱
2場所目から15日制がスタートしている。
千代の山は戦後復興の礎を築いた横綱であっ
た。新大関のとき初優勝。翌場所も優勝した。
初優勝から連続優勝した力士は双葉山、照國、
千代ノ山、朝青龍、稀勢の里の5人しかいな
い。横綱になって千代の山は苦しんだ。横綱
6場所目の昭和28年春場所、横綱返上問題を
おこしている。このときを含め、12場所連続
優勝なしを記録している。
太鼓腹鏡里も新横綱初優勝に苦しんだ。10場
所連続優勝なしだった。そのあと連続優勝
している。若ノ花が大関で無類の強さを発揮
していたとき、記者が鏡里に「明日の若ノ花
戦はどうですか」ときいた。鏡里は「こっち
は横綱だよ」と記者をやんわりたしなめた
エピソードがある。
吉葉山は優勝のチャンスをなかなか生かせ
なかったり、14勝しながら平幕で横綱・大関
戦なしの時津山に優勝されたりと不運であっ
た。そんな吉葉山だけに初優勝したときは、
ファンの熱狂は大変なものだった。おりしも
その日は雪であった。優勝パレードは雪にも
かかわらず、吉葉山の優勝を待ちに待った
ファンが殺到。その人気は凄まじかった。
吉葉山のほおを流れるのは涙か雪かとして、
その光景が伝わっている。初優勝で横綱に
昇進したが、1場所目、2場所目は休場して
いる。横綱在位17場所、ついに優勝はなかっ
た。照國と並んでワースト3位タイ記録を
つくってしまった。
(この項目続く)
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