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首投げ一閃

十一月場所、カド番豪栄道は7勝7敗で千秋楽を迎えた。
まさに背水の陣である。対戦相手は関脇栃煌山である。
実力者だけに勝てるとは限らない。立ち合い、栃煌山が
双差しになる。豪栄道敗れたり。と誰もが思った一瞬、
豪栄道がはなった捨て身の首投げが決まり、首の皮1枚
残して大関の座を死守した。
豪栄道A
<2015年十一月場所千秋楽 栃煌山対豪栄道>
 
首投げといえば忘れられないのが、昭和45年の三月場所
である。この場所は北の富士、玉の海が、新横綱として
登場した場所である。大鵬も休場明けとして出場。この
場所のポスターは新横綱の北の富士・玉の海のみで、大
鵬の姿はなかった。これが大鵬に火をつけた。この場所
の3横綱は好調で、三つ巴の優勝争いになっていた。12
日目を終えて、玉の海が全勝、北の富士・大鵬が1敗で
横綱戦に突入した。13日目大鵬が玉の海を倒し、3横綱
が1敗で並んだ。14日目は1敗同士の大鵬と北の富士が
激突した。
大鵬
<大鵬>
 
速攻北の富士と王者大鵬の一番は、北の富士が立ち合い
から2本入った。勇んで出るところ、首を巻き込んで体勢を
入れ変えた大鵬のタイミングがピタリとあって大鵬の首投
げが決まった。結局この一番に勝利した大鵬が、千秋楽
も勝って14勝1敗で31回目の優勝を達成した。それほど
大きな一番でのあざやかな首投げだった。
かつて名勝負といえば必ず登場したのが、栃錦対大内山
戦である。昭和30年夏場所、横綱栃錦は13勝1敗で優勝
を決めて千秋楽の大内山戦に臨んだ。新大関大内山は
14日目まで9勝5敗と2ケタ勝利をかける。立ち上がるや
大内山はヤツデのような大きな手で突っ張る。栃錦の顔
面に何発も入る。栃錦の顔がみるみる紅潮していく。栃錦
よく耐えて、一度は組み止めるも再び離れて、大内山の強
烈な突っ張りが炸裂する。苦戦の栃錦、大内山の首に飛び
つき、あざやかな首投げを決め、激闘に終止符をうった。
栃錦!
<栃錦のブロマイド>
 
首投げは窮余の一策。一瞬の逆転技には様々なドラマが
展開されていた。
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この記事を書いた人

無類の相撲好き。本場所は地方場所を含めて年間半分くらい観戦しています。大相撲に農閑期はなく、随時執筆していきます。興味深く読んでいただければ幸いです。お問い合わせなどあれば管理をお願いしてる masaguramさんまでX(Twitter)ください。

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