鶴竜はうまさで取る相撲である。だが、ときとしてうまさ
は圧倒的パワーの前に蹴散らされることがある。今日の
碧山はつぼにはまると要注意な相手である。しかし、立ち
上がった瞬間、鶴竜は碧山のパワーを封じて自分十分に
組みとめてしまった。こうなっては相撲にならない。
鶴竜は難なく全勝を守った。
一方1敗の白鵬は逸ノ城を一瞬で投げた。立ち合い先場所
手がかからなかった逸ノ城の左上手、今回は素早く取った
ので相撲になるかなと思った。白鵬は大きい把瑠都と
がっぷり四つになると大相撲を取ることがあるので、
ひょっとしたらと思った瞬間勝負は決まった。鶴竜を
追走する。
形の上では稀勢の里も1敗だが、今場所稀勢の里はここが
よくなった。強くなったという変化が感じられない。
優勝はかなりハードルが高いが、優勝戦線をのカギを
にぎる存在である。両横綱にとって超えなければならない
危険な相手となる。
さて白鵬と鶴竜千秋楽の両者の決戦はどうなるか。実は
今年に入って千秋楽結びの一番で両者優勝をかけての
激突が一番もない。それだけに今場所こそと思いたいが、
問題はどういう勝敗でぶつかるかだ。鶴竜が優勝するには
1差をつけておきたいところだ。相星では白鵬の32回
優勝のチャンスはのがさないのでは。いずれにせよ今年
最後の相撲にふさわしい大一番になることを期待する。