現在、大関は琴奨菊・稀勢の里・豪栄道と3人いる。
しかし、大関というにはいささか物足りない点がある。
共通しているのは優勝争いが少なすぎるもしくは1ケタ
勝利が多いこと。横綱が狙えるはつらつさや勢いが
まるで見えない点である。要するに現在の大関は期待に
応えていないのだ。
次の大関候補は逸ノ城・大砂嵐・照ノ富士が有力候補だが、
すぐにでもとはいかない。なにしろ大砂嵐・照ノ富士は
三役にまだ昇進したことがない。逸ノ城にしても三役に
定着していないのだから、気が早いといえば気が早い。
しかし、いつまでも明日のホープでいては素質を開花する
ことはできない。3力士の課題と可能性を検証する。
逸ノ城は今年(2014年)の一月場所デビューしたばかりで
なんといってもキャリアが浅い。スピード出世した豊山
(前名内田)でさえ入幕後7場所かかって大関に昇進した。
逸ノ城の新入幕は予想をはるかに超える活躍だが、この
調子が続くとは限らない。今の逸ノ城は猛稽古で地力を
つけることが先決である。ただ、逸ノ城は稽古場で通用
しないとわかると本場所では取り口を変える頭脳戦を
展開できる。逸ノ城の見極めは十一月場所で決まる。
大砂嵐の夢は横綱である。七月場所で2横綱を倒した
大砂嵐も九月場所では引き技が目立ち、墓穴を掘って
いた。大砂嵐は荒削りといわれているが、逆にいえば
理詰めの相撲がとれれば、強さが増加することになる。
今の相撲のままでは通用しない。もうそろそろ理にかな
った相撲を取り始めてもいい時期である。大砂嵐は十一
月場所で入幕2年目にはいる。彼に言えることは1つ。
相撲が変れば強さが増す。
照ノ富士が急激に強くなったのは間垣部屋閉鎖後、伊勢
ヶ浜部屋に移籍してからである。十両で2度12勝をあげた
照ノ富士も幕内では目だった活躍はない。相撲の取り口は
大物を匂わす内容があるが、まだ十分ではない。なにより
立ち合いの破壊力がまだまだである。特に横綱・大関戦は
必要だ。十一月場所は上位戦第2ラウンドである。ここで
どういう相撲を見せるかが今後を占うことになる。
3力士とも大関にはやや先物という感じがするが、これ
まで大関候補といわれながら、ついに昇進できなかった
力士を多く見てきた。鉄は熱いうちに打て。何時までも
時間があるわけではない。伸び盛りのいまこそ大関への
足固めをすべきときである。