九月場所、十両の栃ノ心が全勝優勝して幕内復帰を決定的
にした。15日制になって十両で全勝優勝したのは、栃光・
豊山(内田)・北の富士・把瑠都についで5人目となる。
もっとも栃ノ心は元小結という点が4人と異なるものの
幕下まで陥落した後の十両全勝優勝だから見事である。
そもそも、栃ノ心は2008(平成20年)の七月場所の入幕
から昨年(2013年)の七月場所まで約5年半、幕内を維持
してきた。にも関らず、七月場所の5日目の徳勝龍戦で
右膝前十字靭帯断裂及び右膝内側側副靭帯断裂の大ケガに
襲われ途中休場するはめになった。そのため、十両陥落
したものの2場所連続全休。さらに幕下に落ちても全休
と4場所連続休場という悲惨な状況に追い込まれた。
かつて栃ノ心同様過酷な運命に陥った力士がいた。竜虎だ。
左アキレス腱断裂で4場所連続休場して幕下まで陥落した。
この間、ベッドで上半身だけ鍛える姿が報道されりもした。
復帰は幕下43枚目からスタートした。幕下3場所、十両
3場所を要して幕内へ復帰した。
復帰後は横綱北の湖から金星を奪ったり、小結に返り咲い
たりして活躍した。しかし、復帰12場所目に今度は右アキ
レス腱を切ってしまった。土俵の上では苦痛に顔がゆがむ
竜虎が忘れられなかった。これが竜虎最後の一番となった。
栃ノ心は幕下2場所連続優勝、十両2場所連続優勝という
華々しい実績を引き下げて幕内に戻ってくる。七月場所
では逸ノ城を本割・優勝決定戦と連勝している。見ように
よっては以前より強くなっている気さえする。幕内で
ゆくゆくは再び激突する逸ノ城戦をはじめ、横綱・大関戦が
楽しみになる。