白鵬が正式に協会を退職して1カ月になる。いまさらながら宮城野
部屋の復興がならなかったのはもったいなかった。北青鵬の悪質で
陰湿な弟弟子への暴行は、自らの行き場をなくしただけでなく、師
匠を失職させる結果につながった。まことに罪深いことをしでかし
た。
残された旧宮城野部屋所属の力士は、これから伊勢ヶ濱(元照ノ富
士)部屋で過ごすことになる。そこで稽古に励み、強くなるしかな
い。師匠の元照ノ富士自体が間垣(2代目若乃花)部屋からの移籍
組であった。その辺の心理は理解しやすいかもしれない。旧宮城野
部屋勢に焦点をあててみよう。
◆幕内

伯桜鵬
一時の勢いが消えてしまった。新入幕では2つの三賞を受賞し、
「自分以上だ」と元白鵬の宮城野を喜ばせた。やはりケガが影響し
ている。「健康上の理由をなんぼ言っても相手には勝てん」と語っ
たのは力道山である。ケガから復帰し、横綱にまでなったのは照ノ
富士である。復活が待たれる。
草野
十両連続優勝ですっかり見直した。しかも14勝1敗、13勝2敗で優
勝レベルが高かった。期待がもてる楽しみな逸材である。新入幕で
はまず、2ケタ勝利をあげること。スピード出世することも強豪の
条件である。

◆幕下
松井
幕下格60枚目付け出しでデビューしたのが昨年の三月場所だった。
そこから1年以上経過したが、十両はまだ見えない。現状を打破す
る強い意志が必要である。
炎鵬
ケガで番付を下げながら、復活してきた。炎鵬が登場すると館内が
わく。先場所は幕下15枚目で1点の負け越しではね返された。ここ
からが本当の戦いになる。炎鵬の十両返り咲きを見守っているファ
ンは多い。

ほかに再十両を目指す天照鵬、スピード出世の聖白鵬が控えている。
誰が到達の最高点に達するか。旧宮城野勢から宮城野部屋の再興が
なるよう願わずにはいられない。