さる三月場所、金峰山と北青鵬が入幕した。また、
落合が幕下1場所で十両入りした。いずれも楽しみ
で期待が大きいホープといえる。彼らの出世争いが
見ものである。
昭和40年代、期待されたホープが角界のプリンス貴
ノ花、土の香りがする力士大受であった。そのあと
から浮上した力士が蔵前の星輪島であり、未解決の
魁傑であった。一番出世したのは横綱になった輪島
であった。さらに追いかけてきたのが時代を築いた
怪童北の湖だった。今度は果たしてどうなるか。
■金峰山
相撲がいいのが金峰山である。パワーで圧倒して攻
めまくる相撲である。これを伸ばしていけばいい。
さらに鋭さと破壊力にみがきをかければ、上位に通
用する。三段目付出でデビューしたが、9場所連続
勝ち越し中で負け越し知らずである。
■北青鵬
筆者が幕下のホープを書こうと思ったときはまだ三
段目であった。1年後再び幕下のホープを執筆しよ
うと思ったときはもうは十両だった。恐るべきスピ
ードで出世した逸材は幕下以下で負け越しはなかっ
た。十両でケガして休場し、躓くことになった。相
撲は相手に攻め込まれ、絶えて勝つ。これを脱する
ことである。果敢な攻めが求められる。2メートル
の身長と21歳の若さでさらなる飛躍が期待される。
■落合
幕下15枚目格付け出しのなか、1場所で驚異の十両
入りした。輪島が幕下最下位付出で2場所連続全勝
優勝したときも驚いたが、落合はそれ以上の衝撃だ
った。落合で目を見張ったのは、三月場所千秋楽朝
乃山戦の激闘だった。もう一歩まで朝乃山を追いつ
めた。最後は朝乃山の粘力にやられたが、落合は思
っている以上に強いと見直した。毬栗頭(いがぐり
あたま)からスタートしただけに髷なし幕内力士が
誕生するかもしれない。
千代の富士は投げから前みつを取って出る相撲に変
えたことで強くなった。それだけに力士人生はなか
なか予想しがたい。3人の出世競争は相撲界の新た
な興味であることは間違いない。