空中戦というとプロレスのイメージが大きい。サマ
ーソルトキックのエドワード・カーペンテア。連続
ドロップキックの名手、フラインクロスチョップの
ミル・マスカラス。しかし、多彩な空中技で最も強
烈な印象を残したのは何といってもタイガーマスク
であろう。
将棋にも空中戦がある。平面で指し合う将棋にと思
うかもしれない。飛車・角の大駒が縦横無尽に飛び
回る戦いをいう。
大相撲にも空中戦はあった。重心を下げる大相撲に
空中戦とはどういうことか。これは長身力士同士が
戦うことを意味する。行司から見れば雲の上?の戦
いになる。めったに使用される言葉ではないのでほ
とんど触れることはなくなった。
長身は2メートル越えが1つの目安になる。ただ、
戦前戦後昭和30年代までは日本人の平均体格はそれ
ほど大きくなかった。だから192センチも長身力士
であった。その中で実現したのが、以下である。
●昭和戦前
出羽ヶ嶽(207センチ)対朝潮(195センチのちの男
女ノ川)
対戦成績は朝潮=男女ノ川の5勝1敗であった。実
力からいって当然の結果だった。
●昭和戦後
不動岩(214センチ)対大起(194センチ)
対戦成績は大起の6勝3敗であった。
大内山(202センチ)対大起(194センチ)
対戦成績は大内山の11勝5敗であった。
なお、不動岩と大内山は同じ時津風(元双葉山)部
屋の力士で対戦はない。
2メートルを超えた力士に曙、琴欧洲がいたが、時
代のズレで対戦はない。2メート同士の対戦は江戸
時代を別とすればまだない。幕内の北青鵬は2メー
トル越えだが、対戦相手に2メートル以上の力士が
いない。現代大相撲では空中戦は見られなさそうで
ある。