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大相撲その立ち合い

大相撲でしらけること、それは制限時間後の立ち合いが
合わないことである。4月28日の力士会に審判部がのり
込んで、故意の待ったをした者は厳重注意すると各力士
に伝えたとのことである。アマチュアでは行司ならぬ審判
が両者を立ち合わせる。しかし、大相撲は、力士の呼吸
が合ったところで立つ。立つか立たぬかは、両力士に委
ねられている極めて珍しい競技なのである。
それなのに見ていて明らかにおかしい立ち合いはある。
まず、最初の仕切りから呼吸を合わせていこうという様
子がまるで見られない。カタチだけの仕切りが目立つ。
これでは何回繰り返しても意味はない。実際は立つこと
できない、低く沈む平蜘蛛の仕切りなどは無意味である。
160324十二日目幕内゙ 414
<呼吸が合わない立ち合い>

制限時間後だけ帳尻を合わせても片方が手をついて待っ
ていて、動作が遅かったほうが自分の呼吸で立っている
ような立ち合いさえある。片手をついて、もう一方の手を
するように立つことがある。これでは相手は立ちにくい。
本当に呼吸が合って立っているとはいえない。
なお、メディアでも手をつくという表現をすることがあるが、
厳密には手をおろすである。腰が割れれば手は自然と
おりるのである。両手が自然とおりれば、立つめやすに
もなる。横綱栃木山は、立ち合いは同時に立って、速く
攻めろと語っている。小坂秀二氏は立ち合いについて
次のように述べている。
腰を割らずに手を下ろしたのでは、腰が高くなり前への
めるような格好になってしまう。これでは立てない。(中
略)相手との呼吸が合わないのも、お互いに腰を割ると
いう動きがなく、そこを飛ばして次の動きに入ってしまう
から、相手と目を合わせることもなく、呼吸も動きも合わ
ない。(中略)

双葉
<双葉山のブロマイド>

双葉山は(足の位置を)左から右という順で決める。(中
略)足の位置が決まると、腰を割る。このとき双葉山は、
左ヒジを左ヒザに乗せ、右手は手のひらを右ヒザに乗せ
ている。(中略)この形で、相手としばらく見合い、呼吸を
合わせる。ここのところが、いまの立ち合いには全然
欠けている。ここでの見合いが非常に大事なのである。
手を下ろす前に、腰を割って相手と見合うことによって、
呼吸も合ってきて、立つ気が互いに高まってくるのであ
る。立つか、立たぬかは、むしろここで決まると言って
いいだろう。ここに仕切りのなんとも言えない”間”があ
る。(伝説の名横綱双葉山 中公文庫より)
双葉山は理想の横綱像であり、力士の手本であった。特
にその立ち合いは、相手が立てば、いつでも立つという
ものであった。立ち合いは双葉山に学ぶべきである。

大型連休でもどこにもいかず
興味深いテーマをこれからも届けます。

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この記事を書いた人

無類の相撲好き。本場所は地方場所を含めて年間半分くらい観戦しています。大相撲に農閑期はなく、随時執筆していきます。興味深く読んでいただければ幸いです。お問い合わせなどあれば管理をお願いしてる masaguramさんまでX(Twitter)ください。

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