17年ぶりの初日満員御礼で始まった十一月場所。人気の
源は新関脇逸ノ城である。横綱・大関戦に3勝1敗で
13勝をあげた史上最高の新入幕力士逸ノ城。九月場所が
終わってから十一月場所が始まるまでスポーツ紙、テレビ
ニュースと話題を独占した。逸ノ城の特集を組んだ番組
さえあった。いやがうえにも注目が集まると同時に評判の
逸ノ城見たさに観客が福岡国際センターに向かう。これが
今場所の観客増につながっている。
そんなお客に応えたのか、初日、逸ノ城の相手は休場
明けの日馬富士である。初日に横綱対関脇の取組は異例
である。だが、勝負はあっけなかった。日馬富士の鋭い
踏み込みからの突き起こしに後手に回った。逸ノ城が
まわり込んではたくも上体が伸びきり、正面土俵を割った。
完敗である。
場所前、逸ノ城の稽古は十分ではない。巡業は帯状疱疹で
途中で休場した。骨盤のズレもあった。福岡入りしても
出稽古はせず、部屋で下の力士相手の稽古だった。なに
より逸ノ城はデビューしてわずか6場所目である。そう
いう意味で逸ノ城に過剰な期待を抱くのは本来酷なので
ある。
日馬富士が見せた逸ノ城の攻略法、プロならわれもわれも
と続いてくる。特に先場所負けた横綱・大関は2度も
続けて負けては面目丸つぶれになる。それだけにリベンジ
にはここぞとばかりに立ち向かってくる。逸ノ城の今場所
はけして安泰ではない。