照ノ富士の一人横綱が続く大相撲界。その照ノ富士
もは2歳になり、休場が目立ってきた。様相は昭和47
年七月場所以降に似てきた。
昭和47年七月場所から大鵬は一人横綱になった。こ
の場所から大鵬の晩年は始まった。千秋楽優勝圏内
にいながら優勝への執着心が薄い相撲で新大関清國
に敗れた。
当時、次の横綱は予想もつかない状況だった。玉乃
島は、チャンスはあったが決定打に欠けていた。状
況が変化したのは新大関清國の優勝だった。「清國
ひとりに甘い汁を吸わせない」と言ったのは北の富
士である。燃える要素があるときの北の富士は強か
った。
北の富士は12勝-13勝優勝-13勝優勝で横綱に昇進
した。13勝優勝-10勝-13勝優勝同点の玉乃島が同
日横綱に昇進した。これまで2回横綱のチャンスを
逃したことが評価された。
現代の北の富士、玉乃島は誰か。横綱は常勝を求め
られる。毎場所好成績をあげていかなければならな
い。それは連続優勝によって生まれるものではない。
力量抜群でどこからいっても盤石の領域である。
そういう可能性もつものは誰か。豊昇龍と琴ノ若が
秘めている。だが、今のままではまだ遠い領域であ
る。取りこぼしが多い。
横綱に昇進する条件は両力士とも今の延長上にはな
い。現状を脱するには一に稽古二に稽古である。激
しい稽古で固めるほどの猛稽古が求められる。