佐渡ヶ嶽部屋の四股名に「琴」が付く理由|初代琴錦と琴弾八幡宮、「琴」のつく歴代の幕内力士

佐渡ヶ嶽部屋の力士の四股名に「琴」が付くのは、部屋を興した初代琴錦(元小結)の四股名にちなむ。その「琴」は、初代琴錦の故郷である香川県観音寺の琴弾八幡宮に由来している。部屋の力士すべてに「琴」が付くようになったのは、横綱琴櫻が師匠を継いでからである。

昭和30年7月の創設から、師匠は初代琴錦・元琴櫻・元琴ノ若と代わった(田口 通廣の2023年8月・2026年2月の記事による)。元琴ノ若の息子の琴ノ若は、2024年五月場所から祖父の四股名・琴櫻を名乗っている。

目次

「琴」の由来|初代琴錦の故郷・琴弾八幡宮

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佐渡ヶ嶽部屋といえば頭に琴がつく四股名で、これが常識になって長い時間がたつ。この四股名の大元は、部屋を創設した初代琴錦である。初代琴錦の故郷、香川県の観音寺にある琴弾八幡宮に由来している。

佐渡ヶ嶽部屋を興した佐渡ヶ嶽親方(元小結 初代琴錦)
<元初代琴錦の佐渡ヶ嶽>

昭和30年7月、元小結の初代琴錦が7人の弟子を引き連れ、元佐賀ノ花の二所ノ関部屋から独立しておこしたのが佐渡ヶ嶽部屋である。ただ、本家の二所ノ関(元大関佐賀ノ花)は琴ヶ濱を手放さなかった。

当時の二所ノ関部屋の幕内力士は玉ノ海(後の玉乃海)と大天竜しかいなく、看板力士の琴ヶ濱を失いたくなかった。琴ヶ濱が移籍できたのは、なんと3年以上たった昭和33年十一月場所で、琴ヶ濱はすでに大関になっていた。玉ノ海(後の玉乃海)はのちに片男波部屋を興し、そちらの「玉」の大元になる(四股名の大元 玉)。

「琴」のつく歴代の幕内力士|師匠の代ごとの一覧

田口 通廣が2023年8月の記事で、師匠の代ごとに並べた幕内力士である。並びと「当時」の注は記事のままにした。

師匠育てた幕内力士(田口の記事の並び)田口の数え
初代琴錦(元小結・部屋の創設者)琴ヶ濱、琴櫻、長谷川(本名)、琴乃富士1横綱、1大関、1関脇など
元琴櫻(元横綱)琴ヶ嶽、琴風、琴若、琴千歳、琴ヶ梅、琴稲妻、琴富士、2代目琴錦、琴ノ若、琴椿、琴別府、琴龍、琴光喜(当時関脇)、琴欧洲(当時関脇で平成17年十一月場所後に大関昇進)、琴奨菊(当時幕内)、琴春日2大関、5関脇、1小結など
元琴ノ若(元琴櫻の娘婿)琴勇輝、琴恵光、琴ノ若(子)、琴勝峰先代から引き継いだ弟子のうち2人を大関に
田口 通廣「四股名の大元 琴」(2023年8月21日)の並びのまま。元琴ノ若の代は、2026年2月の記事(現代相撲部屋の系統7)で琴勇輝・琴恵光・琴ノ若→琴櫻・琴勝峰・琴栄峰と並べ直されている

初代琴錦の代の並びには、本名の長谷川がいる。部屋の全員が「琴」を名乗るようになる前の並びである。元琴ノ若の代の琴勝峰と、2026年の記事で加わった琴栄峰の関係は琴勝峰と琴栄峰は兄弟にある。

琴櫻が部屋を継いだいきさつ|全員に「琴」が付く分かれ目

昭和49年七月場所前、横綱琴櫻が引退を声明した。しかし、師匠の佐渡ヶ嶽(元初代琴錦)との話し合いが十分でなかった。引退を引っ込める、引っ込めないでもめる結果になった。

佐渡ヶ嶽親方(元横綱 琴櫻)
<元琴櫻の佐渡ヶ嶽>

琴櫻は白玉部屋を興す予定であった。ところが、病気中であった佐渡ヶ嶽が突然亡くなってしまった。急遽、琴櫻が佐渡ヶ嶽部屋を引き継ぐ展開になった。

田口は、初代琴錦がもう少し長生きして琴櫻が独立していたら、部屋の力士すべてに「琴」がつくことはなかったかもしれないと見ている。2026年2月の記事では、部屋の力士すべてに頭に「琴」をつけたことを、元琴櫻が紙一重で佐渡ヶ嶽を継いだところから始まったこととして書いている(現代相撲部屋の系統7)。

元琴櫻の佐渡ヶ嶽は、弟子の育成に非常に熱心な親方であった。テレビの解説者のときも、自分の弟子の相撲には思わず力が入ってしまった。2大関、5関脇、1小結など多くの弟子を幕内力士に育てている。

元琴ノ若の代と、いまの琴櫻

佐渡ヶ嶽親方(元琴ノ若)
<元琴ノ若の佐渡ヶ嶽>

平成17年十一月場所中に元琴櫻の佐渡ヶ嶽は定年を迎えた。現役で娘婿の琴ノ若は合わせるように引退し、部屋を引き継いだ。先代の意志を引き継いで弟子集めに熱心で、先代から引き継いだ弟子のうち2人を大関に育てた。

田口は2023年8月の時点で、部屋の繁栄は大関を出せるかどうかにかかっていると書いていた。その後、表の琴ノ若(子)が2024年の一月場所後に大関へ昇進し、新大関の三月場所まで琴ノ若を名のって、五月場所から祖父の四股名・琴櫻を襲名した(2024年大相撲10大ニュース4位・3位)。

田口はこれを佐渡ヶ嶽部屋7人目の大関と数え、琴ヶ濱・琴櫻・琴風・琴欧洲・琴光喜・琴奨菊を挙げている。協会の力士プロフィールのしこ名履歴は「琴鎌谷→琴ノ若→琴櫻」である(2026年9月27日確認)。部屋の代々のくわしい流れは佐渡ヶ嶽部屋の歴代にまとめてある。

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佐渡ヶ嶽部屋の「琴」についてよくある質問

Q. 佐渡ヶ嶽部屋の力士に「琴」が付くのはなぜですか?
A. 部屋を興した初代琴錦の四股名にちなむからです。その「琴」は、初代琴錦の故郷・香川県観音寺の琴弾八幡宮に由来しています。

Q. 部屋の力士全員に「琴」が付くようになったのはいつからですか?
A. 横綱琴櫻が師匠を継いでからです。琴櫻は白玉部屋を興す予定でしたが、初代琴錦が病気中に急に亡くなり、佐渡ヶ嶽部屋を引き継ぎました。初代琴錦の代には、本名の長谷川のように「琴」の付かない幕内力士もいました。

Q. 佐渡ヶ嶽部屋を興したのは誰ですか?
A. 元小結の初代琴錦です。昭和30年7月、7人の弟子を連れて元佐賀ノ花の二所ノ関部屋から独立しました。

Q. 佐渡ヶ嶽部屋の「琴」の力士で横綱・大関になったのは誰ですか?
A. 横綱は、のちに師匠として部屋を継いだ琴櫻です。田口は2024年12月の記事で、琴ノ若の昇進を佐渡ヶ嶽部屋7人目の大関と数え、琴ヶ濱・琴櫻・琴風・琴欧洲・琴光喜・琴奨菊を挙げています。

Q. いまの琴櫻の前の四股名は?
A. 琴ノ若です。協会のしこ名履歴では「琴鎌谷→琴ノ若→琴櫻」で、2024年五月場所から祖父の四股名・琴櫻を名乗っています。

▶ 連載「四股名の大元」全3回(部屋の力士の四股名の頭につく字は、どこから来たのか)
玉(片男波部屋) | 栃(春日野部屋) | 琴(佐渡ヶ嶽部屋)(本稿)
前の回:四股名の大元 栃(春日野部屋)

田口 通廣の四股名の記事 一覧(連載「四股名の大元」「四股名のルーツ」「四股名あれこれ」ほか)

〔四股名の大元〕玉(片男波部屋)|栃(春日野部屋)|琴(佐渡ヶ嶽部屋)(本稿)

〔四股名のルーツ〕○○富士|○鵬&○海(かい)|○風|○○里|寺尾という四股名にこめられた思い

〔四股名あれこれ〕1文字の四股名|頭に若がつく四股名|本名の四股名|四股名のパターン|丸と城と王|~の山|東西南北|動物編(全4回)|~花(上・中・下)|ひらがな変換編|~の・ノ・乃海(全5回)|本名をもじったもの(上・下)|春日野部屋編

〔一覧とクイズ〕力士の改名・旧四股名 一覧|伝統の四股名|四股名クイズ

▶ あわせて読みたい:佐渡ヶ嶽部屋の歴代/佐渡ヶ嶽部屋の力士一覧/佐渡ヶ嶽部屋の謎?/力士の改名・旧四股名 一覧

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この記事を書いた人

少年漫画雑誌、日経関連の編集者を経て独立。現在は大相撲を専門に取材するライター。ほぼ毎場所、自ら土俵際で撮影している。にほんブログ村 相撲・大相撲カテゴリでランキング1位。

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