三月場所の若隆景の優勝はまさに予期せぬ
出来事であった。新関脇の優勝は双葉山以来
といっても双葉山は全勝優勝だし、69連勝へ
スタートしていた。中身が違いすぎるので
双葉山を引き合いにだされても困惑してしま
う。若隆景は今まで上位では10勝5敗が最高
成績だった。それだけにこの優勝を大関への
足がかりにできるのか。考察してみよう。
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三月場所の序盤戦。玉鷲、阿武咲、明生と
順調に白星を重ねていった。玉鷲にはこれで
5連勝と1度も負けていない。明生はこの
場所1勝14敗とどん底だった。4日目霧馬山
に突き押しで先に攻め込まれ、はたき込まれ
て1敗した。これで霧馬山には3連敗となっ
た。通算2勝3敗である。5日目、豊昇龍に
完勝した。
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中盤戦。6日目の隆の勝は圧力をかけてくる
相手だけに苦戦したが、逆転した。これで
対戦成績は4勝4敗となった。7日目大栄翔、
8日目宇良に危なげなく勝利。9日目の逸ノ
城戦は長い相撲になったが、辛抱していい
体勢をつくって勝利した。10日目の阿炎戦は
初顔合わせだったが、一方的な相撲で勝った。
終盤戦は優勝がらみの対戦となった。11日目
全勝の高安に完勝。この場所の優勝決定戦を
いれて対戦成績を7勝2敗とした。12日目
2敗の琴ノ若と対戦。前回の対戦が2020年
十一月場所だから久々の対戦となった。得意
のおっつけが出て退けた。これで対戦成績を
3勝とした。
![](https://dohyounomokugekisya.net/wp-content/uploads/2022/05/若・高A-e1651544816301.jpg)
13日目御嶽海に圧倒され2敗目。対戦成績も
2勝7敗となった。14日目の貴景勝戦は必死
の力で勝った。貴景勝には4連敗中だった。
通算でも2勝5敗である。
千秋楽は前日勝ち越してカド番を脱出した
正代。正代はほっとしているかと思いきや
かえって思い切り攻めることができ、若隆景
は完敗した。これで正代には4連敗。通算
3勝5敗となった。若隆景はまだ大関に通じ
る力はなかったことが明確になった。
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若隆景の実績は三月場所の12勝だけである。
まだ2ケタ勝てる安定した地力の域までは
いっていない。五月場所はほかの力士の若隆
景を見る目が違ってくる。三月場所対戦が
なかった照ノ富士戦が五月場所に帰ってくる。
対戦成績は1不戦勝8敗である。若隆景は
土俵の上で勝ったことはない。3大関は強敵
になる。
要注意が対戦成績2勝3敗の霧馬山、4勝
4敗の隆の勝、4勝3敗の大栄翔、3勝2敗
の豊昇龍である。豊昇龍には2021年九月場所、
一本背負いで負けたことがある。阿炎も油断
できない存在である。
![](https://dohyounomokugekisya.net/wp-content/uploads/2022/05/210920九日目幕内-705-e1651544850864.jpg)
若隆景は彼らを相手に五月場所どのような
成績を残すのだろうか。関脇優勝後8勝に
終わった長谷川・輪島の例もある。偶然にも
長谷川、輪島も12勝優勝だった。若隆景は
なんとか奮闘して10勝し、翌場所につなげ
たいところである。五月場所は若隆景にとっ
て勝負の場所になる。