大相撲

対戦相手が信頼してぶつかれる相撲

2016年3月30日

三月場所千秋楽、白鵬の立ち合い手を出し左への変わり
身は、大阪の大相撲フアンの怒りをかった。思い起こせ
ば、白鵬は一月場所の栃煌山戦でも似たような取り口で
あった。この取り口について白鵬は「8ヶ月ぶりに賜杯を
抱きたいという気持ちがそこに出たかもしれません」と語っ
ている。
160327千秋楽幕内・表彰 844
<三月場所千秋楽 物議となった白鵬の立ち合い>
 
白鵬は、三月場所今までにない速攻、鋭い出足をみせて
きていた。好調稀勢の里、豪栄道は相撲を取らせてもらえ
ず完敗した。こうした相撲が白鵬優勝の原動力であった
だけに、千秋楽の相撲に対する観客の失望感は大きかっ
た。

勝つことが目的なら、勝ってしまえばそれでおしまいで
ある。双葉山が求めたものは相手から得られる勝利でも
なければ、観客の賞賛でもなかった。相撲を通じて自己
を高め、完成する求道者の姿勢であった。その双葉山は
どんな相撲を取ったか。昭和18年夏場所を観戦した小坂
秀二氏は、次のように述べている。
双葉山
<双葉山のブロマイド>
 
六日目、増位山戦-。増位山、仕切り三回目で機先を制
し立ち上がるや、一気に左を浅くのぞかせ前進すれば、
双葉山、たちまち東土俵につまったが、体をひねって左か
ら突き落とした。(中略)一四日目豊島戦-。豊島、はず
押しで東土俵に攻めこめば、双葉山棒立ちとなって危な
かったが、まわりこんで残し、左を差すと逆襲して寄り切
る。(中略)
増位山 
<増位山のブロマイド>
 
増位山にしても豊島にしても、その攻めこみはすばらし
かった。その二人のすばらしい押しに驚嘆しながら、私
は「おやっ」と思った。(中略)この両力士がその場所、
横綱羽黒山に対戦したときの相撲ぶりと比較してみた。
(中略)羽黒山に対しては、増位山は、八日目、豊島は
九日目に顔が合っている。結果は二人とも負けたのだが、
やはり立ち合いから押して出た。ところが、その押しが、
双葉山に対したときと微妙に違うのだ。
豊 島 
<豊島のブロマイド>
 
もちろん、羽黒山に対しても、全力をあげてぶつからな
ければ勝てるものではない。力を抜くなどということは
なく、全力をあげてはいるのだろうが、どこか違うのだ。
言うならば、双葉山には”安心して”ぶつかっている。体
ごと、双葉山にあずけてぶつかっている。体をあずけ
てぶつかっていけば、双葉山は必ず真っ向から受けて
くれる。ところが、羽黒山に対するときは、そこにわずか
ながらの不安があって、全身をあずけてぶつかっていか
れない。ひょっとしたら変わられるのではないかという
不安であろう。(中略)
羽黒山 (
<羽黒山のブロマイド>
 
それほど、相手の力士が信頼して当たっていけるという
こと。力士が命をかける土俵の上で、相手からそれほど
信頼される力士とは、じつにすばらしいことではないか。
双葉山の偉大さというものは、単に相撲が強いとか、優
勝が何回あるとかというだけのものではないことを痛感
させられた。(がちんこ相撲ーだれが現代の双葉山かー
いんな とりっぷ社刊より)

白鵬と双葉山の違いはこんな点にもある。双葉山は、到
達できない偉大な横綱であり、横綱の理想像であった。

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  • この記事を書いた人

denkouriki

無類の相撲好き。きっかけは昭和42年、九重(元千代の山)が分家独立を許さない不文律の出羽海部屋から破門独立したことです。そのさい、千代の山を慕ってついていった大関北の富士がその直後の場所で初優勝した。こんな劇的なドラマを見せられたことが、大相撲から離れなくなりました。視点は監察委員を八百長Gメン、燃える要素があると強い北の富士を循環気質と呼んだ杉山桂四郎氏に。土俵の心は玉の海梅吉氏に、問題点を探るのは三宅充氏に、そして相撲の本質、真髄は小坂秀二氏に学んできました。本場所は地方場所を含めて年間半分くらい観戦しています。大相撲に農閑期はなく、随時執筆していきます。興味深く読んでいただければ幸いです。

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