十一月場所は予想外にも琴櫻対豊昇龍の1敗相星決戦となった。そ
れにしても大関同士の相星決戦はあまり聞かない。昭和60年三月場
所に朝潮と若嶋津の大関同士2敗の相星決戦があった。このとき朝
潮が前に出て圧倒して初優勝を成し遂げた。朝潮唯一の優勝であっ
た。
筆者は9時45分ごろ福岡国際センター会場にきていた。開場は10時
で取組開始は10時40分であった。琴櫻の初優勝か、それとも豊昇龍
2回目の優勝か。それも久々の14勝優勝である。興奮からか目がさ
めるのが早かった。
時間の経過は早かった。優勝を決める結びの一番琴櫻対豊昇龍戦が
始まった。相撲は、豊昇龍が果敢の攻めに出た。闘志を超えた攻撃
だった。見ている者も圧倒された。豊昇龍の猛攻撃に琴櫻は後手に
まわったように映った。
だが、豊昇龍は突然崩れてばったり倒れた。観客はあっけにとられ
た。豊昇龍の上手が切れたことが原因であった。決まり手ははたき
込みとなった。
琴櫻は意外なカタチで悲願の初優勝が達成した。14勝1敗堂々たる
優勝であった。今場所は下位の取りこぼしを減らした。優勝を争う
者同士の対戦を制した。強さがようやく開花した。
さて、来場所優勝すれば琴櫻は横綱になれるのか。気になるのは先
場所の8勝である。それに横綱推挙の第1項は品格力量抜群である。
今はあまりにも2場所連続優勝が一人歩きしすぎている。それに年
6場所の時代に2場所を切り取っただけで横綱にしては判断を誤る。
ただ、横綱照ノ富士の限界は近づいている。今は新しい力がほしい
時期であることは間違いない。その担い手大の里は9勝と大きく躓
いた。だが3大関が優勝を争えばもっと活気づくし、盛り上がる。
そういう意味で来年の一月場所が3大関にとって大切な本場所にな
る。