千秋楽を迎え2敗照ノ富士、3敗隆の勝。地位は横
綱と平幕である。どう考えても照ノ富士が有利であ
る。ところが思わぬ展開が待ち構えていた。
まず隆の勝が新関脇大の里と対戦した。大の里は、
体が大きく前に出ると破壊力がある。大の里有利と
みた。ところが相撲は、隆の勝が当たって一気の出
足で大の里を土俵の外へ押し出してしまった。前日
の照ノ富士戦にように一方的な相撲となった。これ
で結びの一番まで優勝の興味はつながれた。
照ノ富士はこれまで琴櫻に一度も負けていない。そ
れが琴櫻の上手出し投げにもろくもくずれた。前日
の敗戦といいこの敗戦といい、照ノ富士は何かおか
しい。相撲の歯車がくるったとしか思えない。これ
で3敗になり優勝決定戦になった。
照ノ富士・大の里を快心の相撲で勝利した隆の勝。
ここにきて2連敗で負け方が思わしくない照ノ富士。
千秋楽をまえに照ノ富士有利は逆転した。隆の勝有
利に変わっていった。
優勝決定戦は意外な相撲になった。隆の勝は突き立
てもろ差しをねらった。照ノ富士小手投げから右差
しにいった。出る隆の勝だが、照ノ富士こらえて逆
襲の寄り切りで優勝を決めた。
スキありの12勝優勝になるとは思わなかった。優勝
は10回となったが、課題を残した。14日目、千秋楽
の連敗は決めるところで決められなかったことにな
る。これでは勝負弱いことになる。
「3敗で優勝と思うな」と元稀勢の里の二所ノ関は
愛弟子大の里に言った。だがこの言葉は誰にでもあ
てはまる。むろん照ノ富士にも。複雑な思いの中で
七月場所は終了した。