初日1敗をきっした照ノ富士の対戦相手は隆の勝である。昨年七月
場所本割で負け、優勝決定戦で勝利した相手である。前日隆の勝は
あたって突き落としかもろざしねらいと記した。この日は後者であ
った。だが照ノ富士は簡単に許さず、右差し左上手を取る。隆の勝
はそれでももろ差し狙いでの攻防となった。最後は苦労しながら照
ノ富士が寄り切った。
照ノ富士は苦戦しながらの勝利だった。危なげはなかったが、よう
やく勝てた感が強かった。照ノ富士が勝って安堵感が周囲のお客さ
んからもれた。ブランクがあるだけに場所の感覚がまだ戻っていな
いうちは負けない相撲を取ることである。
阿炎は油断のならない相手である。もろ手突きからいっぺんに持っ
ていくか、揺さぶりをかけてくる。これに逆襲したのが、先場所の
相撲だった。一月場所取ってみなければわからないのが琴櫻対阿炎
戦である。
実際の相撲は、阿炎が果敢に突き起こして琴櫻の上体をおこした。
休まず攻め続け、一気に突き出してしまった。阿炎の強さだけが光
った一番になった。琴櫻は1敗となったが、横綱は意識しない方が
いい。まだ常勝、安定性抜群の域ではない。昨年の九月場所の8勝
は大きな失点である。
豊昇龍は翔猿を問題とせず、上手を取ると一気の攻めで完勝した。
強さを最も感じさせる相撲であった。ここまではいい。問題は馬力
型タイプの力士である。豪ノ山、隆の勝、大の里などである。先場
所負けている阿炎を加えてどんな相撲を取れるかにかかっている。