【初心者向け】相撲観戦のマナー・ルール解説

大相撲は、日本の国技として何世代にもわたって親しまれてきた伝統的な格闘技です。国技館や地方巡業での取組を生で観戦するのは、独特の熱気や迫力を肌で感じられる貴重な体験。その一方で、相撲独自のマナーやルールを知らないと、楽しみ方を十分に満喫できないかもしれません。今回は、初めて相撲観戦をする方でも安心して楽しめるよう、観戦時の基本的なマナーとルールをわかりやすく解説します。


1. 相撲観戦の基本スタイル

相撲は、一日に複数の取組(試合)が行われます。番付(力士ランク)が下のほうから始まり、夕方に近づくほど上位の力士が登場します。大相撲の本場所では、**「幕内の土俵入り」や「横綱の土俵入り」**といった儀式も見どころの一つです。特に、横綱がまわしに綱をあしらった姿で入場する「土俵入り」は厳粛で美しい儀式。

  • 早めに入場して下位力士の取組や土俵入りも見学すると、相撲の全体像をじっくり楽しめます。
  • 試合終了間際の時間帯だけ観戦したい場合は、横綱や大関など“スター力士”の取組をピンポイントで狙ってもOK。

2. 入場から座席までのマナー

  1. チケットの確認
    • 会場入口でチケットを提示。スマホ画面の電子チケットや紙のチケットが主流です。
    • 出入り口が複数ある場合は、チケットに書かれたゲート番号や案内表示をチェック。
  2. 席の種類の違い
    • 枡席(ますせき): 昔ながらのスタイルで、4人(または2人)まで座れる正方形スペース。靴を脱いで座布団の上に座るため、動きやすい服装がおすすめ。
    • 椅子席: 後方に配置されており、腰をかけて観戦できるため初心者にとっては快適。
  3. 飲食や持ち込みに関するマナー
    • 会場でお弁当やビール、軽食などを楽しむのは一般的。ただし、周囲の観客の迷惑になるような大量の飲食物や強い臭いのするものは控えるのが無難。
    • ごみは所定のゴミ箱に捨て、席を立つときには周辺をきれいに保ちましょう。

3. 観戦中のマナー

  1. 静かに観戦する場面と応援する場面
    • 基本的に“声援”はOKですが、取組開始直前の立合いは集中力が高まる瞬間。力士とともに息をのんで見守ると、臨場感が高まります。
    • 取組が終わった後は拍手で選手を称えるのが一般的。過度な大声や鳴り物を使っての応援は周囲の迷惑になる可能性があるためNG。
  2. 座席の移動や撮影
    • 枡席は他のグループとスペースを共有する場合があるため、無断で移動するとトラブルになりがち。自分のスペースをはみ出さないよう注意しましょう。
    • 写真や動画の撮影は、一般的に禁止ではありませんが、フラッシュ撮影は力士の集中を乱すので避けるのがマナー。周囲の人の視界を遮らないように配慮しましょう。
  3. 座布団(ざぶとん)投げは禁止?
    • よくテレビで座布団が飛んでいるシーンを見かけますが、2010年代以降は危険防止のため原則「投げるのは禁止」という扱いです。
    • 怪我の原因になるほか、国技館の備品も破損する可能性があるため、近年は放送でも“やめましょう”と呼びかけています。たとえ盛り上がっても座布団は投げず、座ったまま拍手や声援で力士を称えましょう。

4. 土俵入りや仕切りの際のルール

  1. 力士の入退場を妨げない
    • 土俵入りや仕切り(立合いの前に力士が構える動作)の際、通路や通路付近で写真撮影をしようと長時間立ち止まるのは避けましょう。警備員の指示には従い、円滑な観戦環境を維持します。
  2. 塩まきの意味
    • 力士が土俵に塩をまくのは、神事としての意味や、土俵を清めるための習慣です。観客は塩まきに参加しませんが、塩を投げる仕草を見守ってその儀式性を味わうのも相撲観戦の醍醐味の一つ。
  3. 懸賞幕(けんしょうまく)への興味
    • 幕内の上位力士になると取組前に企業スポンサーの懸賞幕が土俵を回ります。広告メッセージが書かれた幕で、1本あたり7万円前後と言われる懸賞金が力士に授与される仕組み。ビジネス観点で見るのも面白いですが、人が歩いている通路に身を乗り出して写真を撮るのは危険です。近くで見るときも、周囲の観客に配慮しましょう。

5. 終了後や休憩時間のマナー

  1. 場内を移動するとき
    • 相撲観戦は長時間に及ぶので、トイレ休憩や売店への移動が必要。枡席の場合、隣の枡席に足を入れないよう気を配りながら通路を利用します。
    • モバイル端末の操作や歩きスマホは危険なので、周囲の人に注意しながら移動してください。
  2. 取組終了後の退場
    • 取り組みがすべて終わると「弓取式(ゆみとりしき)」が行われます。弓を持つ力士が土俵上で優雅に舞う儀式で、本場所最後の見どころ。
    • せっかくなので最後まで見てから退場するのがおすすめ。帰り際も込み合うため、落ち着いて移動するとスムーズに会場を出られます。
  3. 力士との写真撮影など
    • 会場周辺や帰り道で力士を見かけることもありますが、稽古や移動の邪魔にならないように気を付けましょう。基本的にはマネージャーや親方の許可があれば写真をお願いできる場合もありますが、タイミングを考慮するのが大切です。

6. 海外からの観戦客へ向けたポイント

  1. 英語ガイドや音声ガイドの活用
    • 国技館などでは英語のパンフレットや音声ガイドを提供していることもあるので、外国人観光客の友人・知人と行く場合は事前にチェックしましょう。
  2. 服装・持ち物
    • 枡席に座るときは楽な服装・靴で。座りづらい場合はクッションや膝掛けを用意すると快適に観戦できます。
    • 飲み物はペットボトルでもOKですが、ゴミは必ず持ち帰るか指定の場所に捨てて、清潔な環境を保ちましょう。
  3. チケット購入方法
    • 海外在住者でもインターネットでチケットを購入可能な場合があります。早めに予約し、席によって価格が異なることも伝えておくと良いでしょう。
    • 当日券は早朝から並んでも買えない場合が多いので、絶対に観戦したいなら事前予約がおすすめです。

まとめ

相撲観戦は「勝負を楽しむ」というだけではなく、土俵入りや塩まきといった儀式性、枡席での食事や周囲とのコミュニケーションなど、総合的な日本文化の体感でもあります。

  • 静かに見守るべきタイミング盛り上がるタイミングのメリハリを意識する。
  • 撮影や移動の際には周囲に配慮し、安全・快適な環境を維持する。
  • 座布団投げは基本的に禁止。興奮してもマナーを守って応援する。

こうしたポイントを押さえれば、初めての方でも存分に相撲観戦を楽しめます。日本の国技の世界へ足を踏み入れ、その熱気と迫力を存分に味わってみてください。きっと、伝統文化とスポーツが融合した独特の魅力にハマってしまうはずです!