1. はじめに
大相撲界に新風を吹き込み、110年ぶりの新入幕優勝で一躍注目を集める力士――
その名は 尊富士弥輝也(たけるふじ みきや)。
本記事では、彼の生い立ちから現在の活躍、さらには今後の展望まで、詳しくご紹介します。過去の輝かしい戦績や怪我との闘いを踏まえながら、尊富士関がいかにして“新時代”の主人公へと駆け上がったのかを紐解いていきましょう。
2. 圧倒的な業績――110年ぶりの新入幕優勝
尊富士関といえば、やはり2024年3月場所の新入幕優勝が最大のトピック。東前頭17枚目という番付でいきなり幕内最高優勝を飾り、
- 1914年の両國以来、実に110年ぶり
- 新入幕での幕内優勝という歴史的快挙
さらに、殊勲賞・敢闘賞・技能賞の三賞同時受賞という珍しい記録まで達成し、一気に「スター力士」として角界の話題をさらいました。
3. プロフィール&経歴
- 本名:石岡 弥輝也(いしおか みきや)
- 四股名:尊富士 弥輝也(たけるふじ みきや)
- 生年月日:1999年4月9日
- 出身地:青森県北津軽郡金木町(現・五所川原市)
- 身長:184cm
- 体重:148kg
- 所属部屋:伊勢ヶ濱部屋
- 愛称:みきやん / 令和のF1相撲
3-1. 幼少期~学生時代
- 幼稚園:草相撲の強豪だった祖父の影響で相撲を始める
- 小・中学:わんぱく相撲全国大会で好成績、中学では全国3位入賞
- 高校:鳥取城北高校へ進学。強豪相撲部で活躍するも左膝前十字靭帯を断裂する大怪我も経験
- 大学:日本大学法学部政治経済学科に進学。学生大会で団体優勝や個人準優勝など輝かしい成績を残すも、右膝の負傷にも悩まされる
3-2. プロ入り
- 2022年9月場所:伊勢ヶ濱部屋に入門し、初土俵
- 序ノ口・序二段連続優勝など、快進撃を続ける
4. 番付を駆け上がった“令和のF1相撲”
尊富士関は、押し相撲・組み相撲どちらにも対応できる**“速攻型”**が最大の武器。
- 立ち合いの瞬発力を活かし、押し出しやもろ差しで一気に勝負を決める
- “F1相撲”の異名は、短時間で決着をつけるスピード感から
このように下位の番付から一気に駆け上がり、
- 2022年11月場所:序ノ口優勝(7勝0敗)
- 2023年1月場所:序二段優勝(7勝0敗)
- 2024年1月場所:新十両ながら13勝2敗で十両優勝
など、“怪物的”とも言えるスピード出世が彼の魅力を物語ります。
5. 歴史的な新入幕優勝――2024年3月場所
5-1. 幕内デビューでいきなり13勝2敗
- 番付:東前頭17枚目(幕内最下位からの挑戦)
- 主要戦績:
- 初日から怒涛の11連勝
- 大関琴ノ若や前頭上位の強豪を次々撃破
- 14日目に朝乃山戦で右足首を負傷しながらも千秋楽で勝利し、優勝を決定
- 評価:幕内優勝はもちろん、殊勲賞・敢闘賞・技能賞をすべて手中に収めるという離れ業
5-2. 怪我をおしての千秋楽
14日目に負った右足首の怪我は重傷で、師匠の伊勢ヶ濱親方からも休場を勧められるほど。しかし、尊富士関は「ここで負ければ、今場所を楽しみにしてきたお客さんに申し訳ない」と強行出場。結果、豪ノ山を押し出して13勝2敗、1914年以来となる110年ぶりの新入幕優勝を果たしました。
6. 怪我との闘いと近況
6-1. 2024年5月場所~7月場所
- 5月場所:右足関節外側じん帯損傷のため全休
- 7月場所:十両2枚目に陥落。出場したものの途中休場(2勝1敗12休)
6-2. 2024年9月場所以降
- 9月場所:十両11枚目で13勝2敗、2度目の十両優勝
- 11月場所:西前頭16枚目で10勝5敗
- 2025年1月場所:西前頭11枚目で10勝5敗
- 2025年3月場所(中日):西前頭6枚目で5勝2敗(7日目終了時点)
怪我を負いながらも、着実に結果を残し続けているのは、本人の強い意志と努力の賜物と言えます。
7. スタイルと課題
7-1. スピード&多彩な技
- 得意技:押し出し、もろ差しからの速攻
- 四つ相撲にも対応可能で、組んでも強い“器用さ”が武器
- 強烈な握力を活かし、相手に十分な形を作らせる前に攻めきる
7-2. 怪我への対策
- 左膝・右膝、そして右足首と、下半身の怪我が多い
- さらなる上位安定には、下半身強化や怪我のケアが鍵を握ると見られています
8. 将来の展望――“ポスト横綱”へ?
現時点で尊富士関は“将来の横綱候補”という声が上がるほど高い評価を得ています。
- 勝率の高さ:初土俵以来、常に高水準の勝ち星を量産
- 大怪我をしても復活できる精神力:周囲を納得させるだけの“強靭さ”をアピール
- 変化への対応力:大関や関脇など、上位陣との対戦で勝利を重ねている
とはいえ、さらなる課題も控えています。
- 上位常連力士との対戦経験を積み重ねる
- 怪我による休場が長引かないようコンディション管理を徹底する
これらがクリアできれば、尊富士関の地位はさらに盤石なものとなり、角界をけん引する存在へと成長する可能性が高いでしょう。
9. まとめ
- 110年ぶり新入幕優勝:大相撲の歴史を塗り替えた衝撃デビュー
- “令和のF1相撲”:スピード感あふれる取り口でファンを魅了
- 度重なる怪我:高い潜在能力をどう守り伸ばすかが今後の鍵
- 将来は横綱候補?:順調にいけば角界の顔となる可能性大
尊富士弥輝也は、まさに令和の大相撲界を象徴する逸材です。
その若さと勢い、そして独特のスピード相撲は、これからもファンを熱狂の渦に巻き込んでいくでしょう。次の場所でもどのような活躍を見せてくれるのか、目が離せません。怪我を克服し、さらなる高みへと羽ばたく尊富士関の姿を、私たちも引き続き応援していきましょう。