外国人関取の事実上のパイオニアといえば、
ハワイ出身の高見山である。外国人唯一の
幕内力士であった時代は97場所に及んだ。
高見山は愛嬌があり、強さともろさをもち
合わせて土俵をわかせた。優勝経験はあるが、
最高位は関脇であった。
<高見山優勝の記事>
高見山に続いたのが同じハワイ出身の小錦で
あった。高見山にスカウトされ、高砂部屋に
入門した。重量級のパワーは史上初の外国人
大関となり、横綱をうかがう成績をあげて
いく。だが、横綱審議委員会のメンバーが
「外国人横綱はいらない」という論文を発表
し、あたかも小錦を横綱にさせないような
印象を与えた。同時に人種差別ではないか
という見方をされた。
<小錦>
小錦は13勝優勝、12勝、13勝優勝というチャ
ンスを見送られていた。直前3場所で優勝が
なく横綱に昇進した力士、小錦以下の成績で
横綱に昇進した力士と比べると万人を納得
させるものではなかった。小錦はこのチャン
スを生かせず、横綱になることはなかった。
高見山がおこした東関部屋に入門してきた
のが、ハワイ出身の曙である。長い腕から
繰り出す突っ張りは、威力抜群であった。
同期の貴乃花、若乃花との出世争いは、興味
津々で注目が集まった。十両昇進、入幕、
初優勝は貴乃花に先んじられたが、大関昇進
は曙が最初だった。
新大関の場所は全休、次の場所は9勝6敗
だったが、そのあと2場所連続優勝し、ここ
に史上初の外国人横綱が誕生した。2場所
連続優勝で文句なしの昇進だった。このとき
はもう外国人横綱うんぬんの議論は消えて
いた。
<外国人初の横綱になった曙>
曙は横綱を48場所務め、優勝8回(通算11
回)、432勝122敗166休、全休9回(通算10
回)とまずまずの実績を残した。曙の横綱は、
その後のハワイ出身の武蔵丸、モンゴル出身
の朝青龍、白鵬、日馬富士、鶴竜へと外国人
横綱へ道筋をつけたのであった。
(この項目終わり)
長雨にうんざりしています。
興味深いテーマをこれからもお届けます。
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