日馬富士か豪栄道か。結びの一番優勝をかけ
て激突。というほどの期待と緊張感はまるで
もてなかった。2人とも、とにかくよく負け
た。日馬富士は金星4つ、豪栄道の3敗も
すべて平幕である。結びの一番はよく負けた
者同士の今場所唯一の横綱・大関リーグ戦と
なった。
だが、そんな冷ややかな目で見ているのは
筆者だけかもしれなかった。ひとたび国技館
を入ると幕内土俵入りの豪栄道、横綱土俵
入りの日馬富士には熱い連呼が飛び交う。
そしてそれは結びの一番で最高潮に達した。
熱狂的ファンにはたまらない瞬間である。
<本割 〇日馬富士(寄り切り)豪栄道>
激突の一瞬来る。両者あたりあったが、日馬
富士は低く前まわしのいいところをとって
一気に走った。日馬富士の完勝である。豪栄
道ここまできてかわいそうというファンの声
が聞こえる。琴欧洲も把瑠都も琴奨菊も1回の
優勝であった。せめて豪栄道には2回優勝
してほしいという。
<決定戦〇日馬富士(寄り切り)豪栄道>
10分後、優勝決定戦が始まった。東西ところ
を換えて再登場である。熱い声援が再び湧き
起こる。両者立ち上がるや低く入った日馬
富士。豪栄道引くも呼び込んだカタチになり、
日馬富士が素早く寄り切った。日馬富士は
本割、決定戦と連勝して9回目の優勝を成し
遂げた。これは土俵の鬼初代若乃花、王者
大鵬、天才輪島、大乃国、旭富士、曙、千代
大海、栃東(子)についで9人目である。
<9回目の賜杯を受ける日馬富士>
優勝制度の前身(時事新報社が幕内最高成
績者の額を国技館に掲げた)である明治42年
夏場所から数えて今場所は、484場所目に
あたる。4敗の優勝は過去に栃東(父)、
武蔵丸に続いて史上3回目というレアケース
である。優勝改革として成績によって優勝
賞金を変えたほうがいい、とこれまで主張
してきたが、11勝優勝でなおさらその必要を
感じつつ国技館を後にした。
一緒に観戦した方の一人が、力真の断髪式に
おもむいた。
興味深いテーマをこれからもお届けます。
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